谷口 恒平/平成25年入局(広島大学医学部卒) 2022年インタビュー
病理に興味を持ったきっかけ
学生の頃、組織学は大の苦手で、大学3年生で病理学の授業を受けたときも、内容が全く理解できませんでした。「病理医にはならないから別にいいや」と思った記憶があります。不真面目な学生だったこともあり、当時学んだ病理学の知識で、今も残っているものは片手で数えられると思います。
本格的に興味を持ち始めたのは大学5年生の頃です。一つの臓器だけでなく、全身の疾患を見ることができるという点に惹かれました。また、6年生の皮膚科の卒業試験では、教科書に載っていた組織写真に魅せられて、試験勉強そっちのけで眺めていた記憶があります。そのころから、病理医になって、標本を見たいと強く思うようになりました。
岡山大学第二病理教室に入局
大学卒業後は広島市立広島市民病院で初期臨床研修をしました。病理診断を学ぶにはどのようにすればよいか考えていた際、当時広島市民病院の病理診断科に勤務されていた田村麻衣子先生から岡山大学第二病理を薦められました。その後、多くの病理医の先生方からもアドバイスをお聞きし、岡山大学第二病理への入局を決めました。岡山大学第二病理は、岡山大学卒の先生だけでなく、様々な大学を卒業された先生方が入局されており、年齢の近い先輩、後輩の先生方とも切磋琢磨しながら学べる環境だと思ったからです。
病理学の難しさ
おそらく多くの医学生や研修医の先生にとって、病理学はとっつきにくい分野だと思います。標本を見ても、何を見ているかわからない、とよく言われます。私も大学院生になって、標本を見て全くわからないことや、自分の無知のための間違いを指摘されることが多くありました。自分の診断の出来に一喜一憂する日々であったと思います。「自分には才能がないのではないか」と悩むことも多々ありました。ですが、病理医になって5年、10年が過ぎ、少しずつ考え方が変わってきました。
どんなに必死に勉強しても、1、2年目で病理診断できるようになるのは難しいものです。よほどの才能の持ち主なら可能かもしれませんし、そういった先生もいらっしゃいますが、少なくとも自分はそうではありませんでした。ですが、日々少しずつ上達することを心掛けていれば、4~5年でいろんな診断ができるようになっていきます。「今は出来ないかもしれないけど、焦らず成長することを心掛けてほしい」。あの頃の自分にそう伝えたいと思いますし、これから病理学を学ぶ先生にも伝えていきたいです。
「大学時代は病理が苦手だったから」「顕微鏡は苦手」という先生でも大丈夫です。私もそうでした。大事なことは、日々学び続けることです。
これからの自分のキャリアについて
病理専門医になった今でもわからないことは多々あります。ですが、日々学びがあり、成長することができるのは、病理医の醍醐味であると思います。日々の業務があるので、勉強時間をとるのは難しいのですが、1日生きたら、何か1つ成長したいと思って日々を過ごしています。その中でも特に自分の興味のある皮膚病理を少しずつ勉強していきたいと考えています。
病理学は専門分野が各臓器に渡っており、その中でも診断に重きを置く先生、研究に重きを置く先生など幅広い働き方があります。また、当直や緊急のある臨床科と比べて安定して仕事ができる点も良い点だと思います。少しでも病理診断に興味がある医学生・研修医の先生は是非、岡山大学腫瘍病理/第二病理を訪ねてみてください。
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